ゆめ記
「龍鳴学苑の陰謀」原案
母校の大学には魔術的な秘密が隠されており、幼少期から学内に遊びに来ていた友人Yさんはその鍵を握る存在だが、現在危険にさらされている。
学内の庭、木が茂る斜面にポツンとある、石垣に覆われた立方体と直方体の塊のような物体(坂道に建つ家の花壇のようにも見える)に、隠された入り口がある。ある一つの面が蝶番の付いた扉になっているのだ。今までは何をしても見つからず開かなかったが、危険に追われ探索すると扉が開いた。中には畳張りの通路や日本人形などがあり、よく見るとうちの猫がいたりして、つい最近人が通った形跡があった。奥に入ると勾玉の形をした石組みのモザイクのような床面彫刻(2×3m程度、地下への扉にも見える)があったが、その塗装が不自然に新しい。私は幼少期の記憶を思い出した。平成13年夏(7月下旬頃。当時の私達の姿がビデオ映像の形で流れ日付も入っていた)、美術の課外授業でここへ入ったのだ。その時この勾玉の彫刻がどんなだったか克明に覚えてはいないが、現在の状態がそれと異なることは断言できた。誰かが入り込み偽ったのだ、ついさっき。塗料はまだ生乾きなほど新しい。
行方不明のYさんはどこへ行ったのか。こんな所へ閉じ込められたらもう戻っては来られないかも…そう思った所へYさんが現れ、件の石垣の所で(中か外かは覚えていない)私は彼女の手を固く握った。Yさんは以前通りのようでいて、どこか微かに上の空のような感じもする。
「あの人はあんなにされてしまったんです、ほら、あそこ!!」と私は後述の彫刻を指差し悲痛に訴えた。
Yさんは幼少期、学内に潜む(封印された、勝手に巣食った、それが人間達を利用して学園を築いている、のいずれかは定かではない)邪悪な存在と戦い、ひとりの教師がその味方をした。芸術の名を冠し狐の属性を持つメガネの優男であった。その男は現在学園の片隅に封印されており、表向きは「生きているような彫刻」とされている。最近、学園に背いたらしきもう一人の男がそこに加わり、一般人にはわからない呪術封印の中に悲しげに佇んでいる。その狐の男が言っていた事には、大学の正面に位置する場所には、大学の邪悪な存在と相対する強大な存在がいるらしい。そこは最近取り壊されて地味な税金事務所になっていたが、私がこうして秘密を知り学内を飛び回ってそこに戻ってくると、事務所の時計台と窓から怪しげな青い光が煙のように立ち昇っていた。そして、生徒会の呪術活動(?)を指示したりしていた金髪女性が中央に立ち、傍らには怪しげな若い男。「あの人(金髪女性)、生徒会の活動でも一緒だった人なんですが、なんだか納得いかないんです!」と私は叫んだ。
現在私達の味方として動いてくれている加藤茶似の教師がいるが、学園側に弱味を握られているらしい。禁句を課されており、それを口にした瞬間、もしくは先述の「彫刻」の結界内に足を踏み入れた瞬間、彼は哀れな彫刻の仲間入りとなるのだ。禁句は「寒い」「冷たい」に類する言葉らしく、彫刻結界の瀬戸際で禁句を迫られピンチに陥る彼。だが彼をよく知る女性が現れ「私が温めるから。何も言わなくていいから」と彼を守る。
盛り上がった場面では夢の中にBGMが流れていた。Linked Horizonの『紅蓮の弓矢』に似た曲調で、歌詞は「石垣をこじ開けて…」など情景を説明していた。
以上のような事を夢の中で夢に見た。その『外側』の夢でも私達は何らかの陰謀に狙われており、その謎を解く鍵が『内側』の大学の夢で分かったのだ。それを私は必死に書き留めようと部屋の中で紙を探す。ルーズリーフを一枚見つけて書き始めるが、ふと裏を見るとそこには別の秘密が。
『外側』の夢で私は、皆で出掛ける前に予定外の洗濯をしていたが、洗濯機下部の回転部に周りの洗濯物が巻き込まれてトラブっていた。何度か、巻き込まれた物を洗濯機に入れ直したりした後、そこから煙が出て、回転部の端から2~5cm程の炎が出るのを見る。私は冷静かつ素早く水をかけ消火し、周りの人に報告した。通常起こり得ない現象だ。何か仕掛けがされていて、放火されたとしか考えられない。私が洗濯などしていなければ、皆が家を空けた後に発火して火事になっていたはずだ。
『内側』の夢で石垣建造物の中の勾玉床彫刻を見た時、その縁取りが機械のように回って火花を散らす映像が見え、それが洗濯機の発火した部分と重なった。あそこで仕組まれていたのだと『外側』の私は知った。
※STORY「龍鳴学苑の陰謀」はこの夢をもとに創作。