f 【GARACTAN -画楽譚-】 - STORY - MACHINE GUN GUILTY

STORY

MACHINE GUN GUILTY

概要
 科学技術が花開く近未来都市。しかし、華やかなる繁栄の影には必ず罪と悪意に満ちた暗部が生まれる。光の世界に生きられなかった者達は生きるため身を寄せ合い、数多のグループが形成された。彼らの多くは武装し、他者から奪うことしか生きる術を持たない。そんな影の中で、戦い傷つきながらも生きる道を探す若者達の物語。

1996.12.07- / 2016.04.17-
※本作品は動物名をキャラ名に使用していますが、某フレンズとは一切関連ございません。原案は1996年になります。
組織と構成員

Scar Beast (スカービースト;手負いの獣)

 主人公らが属する組織。心身のどこかに「傷」を持つ者達が、牙を研ぎ、生きる力を得るために寄り添う場所。組織員は動物の名前をコードネームとする。
 無目的な戦闘行為に明け暮れる小さな武装集団が溢れていた裏社会で、表社会からドロップアウトした人間にも安寧に生きる道があるべきだとし、自分達なりの秩序を作ろうと立ち上がった人物が初代ボスのレオ。彼とヒッポ(建築技師・メカニック)、プレッジハウンドから流れてきたキシュウの3人が手を組み結成された。
 「生きること、生きる道を作ること」が元来の理念であり、人を生かす生業のサイガと、仲間の死を見たくないと切望するディンゴが中心的な存在となっていったのは一種の必然といえる。
 廃ビルの一角に隠れたアジトは内部に複雑な機構を持ち、今なお改造が進められている。その真の姿は移動要塞である。
scar[英]…傷跡、心の傷

Pledge Hound (プレッジハウンド;誓いの猟犬)

 元々は任侠の志によって団結しようとする小規模な組織であったが、組織が拡大するにつれてその思想は薄れ、醜い掠奪行為や内部抗争が頻発。遂にはクーデターを起こして分裂し、幹部マスチフの名誉を守る為にキシュウは脱退。新幹部らに舎弟が付き従う形で構成されたそれぞれの組は卑劣な愚連隊へと成り下がった。
 第二世代ボルゾイ組の幹部補佐であったドーベルマンはキシュウと三人衆との一件の後、キシュウ追放の顛末を知り、腐敗した第二世代幹部を倒して組織本来の思想を取り戻そうと発起する。彼らにより第二世代の幹部達は倒され、構成員達は一から鍛え直され、新生プレッジハウンドとして生まれ変わる。
 そして新生プレッジハウンドはキシュウと共にドミナント・エイプとの決戦に臨む。
第一世代幹部
マスチフ、キシュウ、グレイハウンド
第二世代幹部
サモエド、ボルゾイ、ダルメシアン
第三世代幹部(新生プレッジハウンド)
バーナード、ハスキー、ドーベルマン
決戦後の幹部
ドーベルマン、アキタ

「背中を誇れ」

「仲間の前に立ち仁義を守る己の背中を誇りとせよ。敵に向けて逃げる背中は恥とせよ」という意味で、構成員は背中の中央、心臓の裏側に組織の紋章を刺青する。脱退する者はその部分の皮を剥ぎ取られ、組織に仇なした者はその刺青を一突きにされるという。キシュウは刺青を取り除いてはいない。
pledge[英]…固い約束、誓約/hound[英]…猟犬、犬
プレッジハウンドの紋章

智蹄連 (ヂーティリェン)

 薬学研究、薬物取引を主とする組織。好戦的な性質ではないが自衛戦力はある。

Heretic Fang (ヘレティックファング;異端者の牙)

 ディンゴコヨーテが以前所属していた組織。専ら戦闘・殺害行為を金銭で請け負う非情な集団だった。この組織が壊滅する際にコヨーテを失い、仲間を失う意味に気付いたディンゴは、スカービーストでは仲間を守る事に執心する。
heretic[英]…異教徒、異端者

Schelm Feder (シェルムフェーダー;悪戯好きの羽毛)

 女性と年少者を多く擁し、諜報活動と情報取引を主とする組織。戦闘員も皆無ではない。
Schelm[独]…悪戯者、曲者/Feder[独]…羽毛、羽

Dominant Ape (ドミナント・エイプ)

 クローンと洗脳技術を駆使した非人道的な人海戦術で裏社会の金脈、人脈全てを支配しようとする巨大組織。その性質ゆえ敵は多いが、ことにプレッジハウンドはこの組織を仇敵とし、後に最終決戦を引き起こす。
dominant[英]…支配的な、最も有力な、優勢な

ネクロマンサー

 死者蘇生、人間の不死化を様々な方面から研究する極秘の国際研究機関。複数国家の政府傘下に組織され、倫理上公にできない実験を繰り返しているという。「タロス・プロジェクト」もこの機関の協力を得ている。

ヴァローナ

 遺棄・放置された武器を収集し売り捌くことを生業とする組織。光り物を集めることからヴァローナ(カラス)の名が付いたが、俗に「屑拾い」とも呼ばれている。
ворона[露]…カラス

その他

人物・エピソード (各人物のエピソードはクリックで開閉します)

絡み合う運命、「キシュウ」と「テン」の物語はこちら

※関連の深い2キャラクターのエピソードを時系列順にまとめた特設ページです。各エピソードは本ページにも掲載しています。

スカービースト所属 >>スカービーストについて

アードウルフ /男/17歳/172cm/weapon:マシンガン・サブマシンガン、ナイフ各種

 主人公。スカービーストの前線戦闘員。仲間思いの熱血少年。額に巻いたバンダナの下には、刺青を切り刻んだ無残な傷跡がある。
 伝統を重んじる誇り高い民族の生まれ。男児の額には剣、女児には盾の刺青を施す慣習があり、アードもその刺青を刻んだ。
 アードと両親が集落近くの街に移り住んでいた10代前半の頃、彼の一族を狙う武装組織が彼の集落を壊滅させ、その街にも攻め入った。両親が必死にアードを隠し守る中、組織は刺青を目印に一族を虐殺、あるいは拉致し、アードの両親も手に掛けた。組織は程なく警察や軍隊に鎮圧されたが、変わり果てた家族と街の姿に、アードは初めて己の生まれを呪った。彼は泣きながらガラスの破片を手に取り、額の刺青を切り裂き始めた。火の手が上がる暴動跡を偵察していたディンゴが彼を発見し、スカービーストへ連れ帰る。
 後に、彼の一族が狙われた本当の理由が判明する。彼の一族は特殊な遺伝的変異をもち、DNAに含まれるレトロウイルス由来の塩基配列から、ある種のウイルスを再生産可能だと考えられていた。この説を支持する極小数の過激派研究機関が、一族のDNAから生物兵器を作るため、武装組織にサンプル収集を依頼したのだ。後にアードが生き残っている事を知った彼らは、アードを狙い始める。
Aardwolf[英]アードウルフ;ツチオオカミ。アフリカの草原やサバンナに生息するハイエナの仲間だが狩りをせず蟻を食べる
アードウルフ(顔) アードウルフとリカオン(全身)

ディンゴ /男/27歳/181cm/weapon:ベレッタM92、ナイフ各種

 現在のスカービーストの中心的な人物。失った両眼球の代わりに装着された特殊バイザーで望遠・暗視・サーモグラフィ・通信等の機能を駆使し、前線部隊の「目」として指揮を執る。自身の戦闘能力も高い。
 性格は冷静にして豪胆、仲間の命を第一に考え、信頼によって人を動かす包容力のある男。別組織「ヘレティックファング」の殺し屋だった頃は示威的で冷酷な性格だったが、無二の仲間コヨーテを失った事で大きく変わる。
 バイザーはサイガが製作したもの。バイザー自体が外れるような衝撃が加わると視覚端子間の接続が外れ、視神経を傷つけない仕組みになっている。また、解除コードの入力なしにバイザーが外れた場合には自動的に緊急信号が発信される。
dingo[英]ディンゴ;オーストラリアの野生犬/弱虫(豪英語のスラング)/ルンペン、路上生活者/卑怯者、卑劣な奴、裏切り者
ディンゴ(全身)

リカオン /女/16歳/165cm/weapon:トンファー

 スカービースト戦闘員。快活で強気な性格だが、内面には脆い部分もある。身体能力が高く肉弾戦闘に長けるが、銃は不得手で持ちたがらない。
 遺伝子操作で強い兵士を作り出す政府の極秘研究「ピグマリオン・プロジェクト」で生み出されたデザイナーズチャイルド。といっても情動操作を施さない対照実験群であり、その上実験データに手続上のノイズが入った事で破棄された。殺処分される予定だったが護送車が事故を起こし、たった一人生き残った所をスカービーストに保護された。
 スカービーストで生活するうち感情面はほぼ健全になったが、稀に暴走すると敵味方の区別なく殺戮に走ることがある。銃を持たないのはそれを恐れての事でもある。
 以前に正気を失い組織員を巻き込んで乱闘した際、ディンゴに「今度こんな事があったら、殺してください……」と涙ながらに懇願したが、ディンゴの返答は「努力しよう。だが約束はできない。この組織に拾われた以上、そこは諦めてくれ」というものだった。
 自分を助けてくれたディンゴに憧れを抱いているが、彼女に思いを寄せることになるのはアードウルフである。
Lycaon[英]リカオン(Lycaon pictus)(別名多数);アフリカに生息するハイエナに似たイヌ科動物。群れで生活し社会性が高い/リュカオン;ギリシア神話の人物、ゼウスによって狼に変えられたアルカディアの王
リカオン(全身) アードウルフとリカオン(全身)

サイガ /男/24歳/171cm/skill:医学・薬学、バイオメカニクス

 スカービーストの医師。天才的な頭脳で医療全般から義肢製作まで何でもこなし、若くして組織創設期からの古株でもある。戦闘手段は持たず、組織の動向に口を出す事もないが、スカービーストの中心人物の一人である。右足の膝から下は自ら制作した義足。
 性格は冷徹で辛辣。自分の仕事とそれ以外の事、事実と感情論をきっぱり分けるドライな現実主義者。それゆえ敵を作りがちだが、付き合いの長いキシュウやディンゴは彼なりの誠意を理解している。
 遠慮や謙りというものがなく、「あんた」と呼んでいたのはレオとキシュウくらいで、現ボスのグリズリーさえも「お前」呼ばわりである。
コヨーテと瓜二つの容姿をしている。
Saiga[英]サイガ(オオハナレイヨウ、オオハナカモシカ);大きな鼻が独特なカモシカの仲間
サイガ(顔・全身)

キシュウ /男/55歳/181cm/weapon:日本刀(白鞘・大小)、トカレフ

 スカービースト創設メンバーの一人。別組織「プレッジハウンド」から追放されてスカービーストを作ったとされており、プレッジハウンドにおいて彼の名はほぼタブーの扱いだが、実際は彼に非があって追放されたのではなく、当時の幹部だった盟友マスチフの為に敢えて汚名を着た身である事を極々一部の人間だけが知っている。
 冗談好きでいい加減、軽薄な振る舞いを見せながら、血気に逸る若い構成員達を落ち着かせたり、局面を打開する助言をしたりと、さりげなく組織全体をまとめ上げている。また急にふいと居なくなっては(ふらふら出歩くのも日常茶飯事なので誰も不審がらない)諜報活動をしたり、別組織と取引したりもする。
 ジャパニーズヤクザの出で立ちで、総身に独特の刺青があり、その中にはプレッジハウンドの紋も含まれている。刺青の主なモチーフは石楠花(シャクナゲ、花言葉は「威厳・荘厳・危険」)。
 前線で戦う姿は滅多に見せないが、琉球空手と居合の達人。日本刀は師匠ザンナの形見であり、普段は白鞘だが大規模な戦闘に際しては拵に納める。
「あのね。俺のこと年寄りっていうなら尚更なんだが…… 道具が無いと何も出来ないようじゃ、この歳まで生き残ってやしねえんだよね」
キシュウ;紀州犬
キシュウ(全身) キシュウ(ラフ) キシュウ(成長過程) キシュウ(半身・幼少期) キシュウ(半身・幼少期) キシュウとザンナ(全身・青年期) キシュウ

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※関連の深い2キャラクターのエピソードを時系列順にまとめた特設ページです。各エピソードは本ページにも掲載しています。

クーガー /男/外見20代前半/186cm/weapon:狙撃銃、銃器全般

 「……接近戦は専門外だ。保証はしない」
 スカービースト戦闘員。銃器の扱い、特に遠距離狙撃に超人的な精度を誇るスナイパー。性格は非常に淡白で無口、やや気まぐれな所があり、作戦行動にも必ず参加する訳ではない。
 常に着けている幅広のヘアバンドの下には、頭蓋をぐるりと囲む大きな手術痕がある。
 本名はヨアキムといい、軍人であった。軍役で半身不随の重傷を負った彼は、表向きには戦死と発表され、「タロス・プロジェクト」(優秀な技を持ちながら負傷で戦力外となった熟練兵の脳をセルフクローン身体に移植し蘇らせる政府の極秘研究)の被験体にされていた。しかし一時心神喪失状態に陥り逃走、スカービーストに保護される。現在精神状態は概ね安定しているが、過去の記憶は一部混乱しており、稀に全身が激しい幻肢痛に見舞われる。また、自分という存在の実存性に自信が持てず漠然とした不安を抱えている。
 ところがある時、智蹄連(ヂーティリェン)の薬学研究員と偶然出会った際に、彼女が自分の娘ウルリカ・ストリャヴナであると気付き、過去の記憶を思い出すと、前述の症状はぱったりと消え情動も回復する。

 (この手も足もすべて、俺のものじゃない…… 全身が、精神と肉体との間さえもが、ばらばらに千切れてしまいそうだ。
 俺は何だ? 俺は軍人で、政府の被験体で、……それから? 俺などという人間はそもそも存在するのか? 何故、こんな体になってまで生きている。俺は、俺は……
 ……何かとても大事なものを、忘れている気がする……)
Cougar[英]クーガー、クーガ;ピューマ(puma)の別名
クーガー(全身)

レッキス /男/11歳/130cm/weapon:暗器、爆発物

 スカービースト構成員。主に偵察行動を担当する。半サイボーグで外見に似合わぬ身体能力を持ち、頭脳も明晰。明るく時に悪戯っぽい性格で、子供らしく無邪気な振る舞いを見せる事もあるが、どこか演技的なところもある。
Rex[英]レッキス;フランスに起源を持つカイウサギの品種。短毛種だが毛皮の質が非常によいため毛皮にも使われる
レッキス(顔・全身)

ジャガー /男/18歳/170cm/weapon:ショットガン/skill:機械類全般

 スカービーストのメカニック。元の名はアレックスといい、表社会に暮らすごく普通の少年だったが、ある武装組織の抗争に巻き込まれて妹アリスを失い、自らも重傷を負ってスカービーストに拾われた。妹の生存は絶望的だと思いつつも、諦めきれず探し続けている。
 大きく損傷した右眼周辺には拡大鏡等の機能を備えた特殊バイザーを着け、戦闘時にはショットガンや各種機器を用いる。
 妹を探すことを組織に居る理由だとしてきたが、ある時遂に彼女の遺骨を手にする事になってしまう。
「たぶん、どこかでは分かってたんだ…… ただ認めるのが怖かったんだ。信じてると思い込んで、逃げていただけなんだ。だけど…… だけど、会いたかったな……」
 人が変わった様に塞ぎ込むジャガーにディンゴは「お前は表社会にも戻れる身だ。ここにいる理由が無くなったというなら無理強いはしない、ゆっくり考えるといい」と言葉をかける。数日の後、ジャガーはスカービーストの仲間達と歩み続ける事を決める。
Jaguar[英]ジャガー;トラ・ライオンに次いで大型のネコ科動物。がっしりとした体格で木登りもできる
ジャガー(顔)

ギニー /男/30歳/175cm

 サイガの助手。肥満体型で普段はおっとりしているが仕事は迅速。乾皮症で日の下に出られない為、組織の建物から出る事はない。内気で食いしん坊、動物好き。
Guinea pig[英]ギニー・ピッグ;モルモット

テン /男/23歳/169cm/skill:格闘術、気功

「……下がって下さい、僕の出番だ」
「馬鹿なのか、生身で銃に勝てる訳がないだろう。撃たせないように立ち回るだけだ」
 スカービースト戦闘員。精悍な肉体を持つ肉弾対人戦闘のエキスパート。
 武器や義肢など何らかの金属を身に着ける者が多い組織の中で、一片の金属も持たず生粋の肉体と身体感覚だけで行動する異色の戦闘員。強磁気環境や金属探知下、極端な狭所など、他の戦闘員が不利となる特殊な場合のみ出動する。その反面、機械には滅法弱く、携帯電話すら満足に扱えない。
 武道で培われた平常心で常に平静に状況を判断する。現実主義的で素っ気ない言動が目立つが、義理堅く信頼のおける男。強靭な精神力の持ち主だが、仇敵への憎しみに我を忘れないよう自分を律することを課題とし、もし冷静さを欠けば危うい一面がある。その怨恨から近代兵器そのものを嫌悪しており、機械嫌いもその一環である。
 低温・低酸素・飢餓等の危機的状況に際しては、呼吸法と気功の応用で自ら仮死状態に入る技術を持つ。その場合は西洋医学的な蘇生処置を施すと却って脳組織を傷つける為、自力で蘇生するのを待って欲しいと周囲に託けている。
テン(貂);イタチの仲間。雑食性だが肉も好んで食べる。横切ると縁起が悪い、キツネやタヌキ以上に化けるなどという伝承もある。またキテン(ホンドテン)の毛皮は最高級とされる
テン(全身)

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ミンク /女/17歳/146cm/skill:情報処理、電子機器全般

 スカービーストの司令室で機器操作と情報伝達を担当する非戦闘員。身体はほぼ生身だが、左眼球は拡張デバイスになっている。
 情報処理技能に特化した人間の脳を集めて生体コンピュータを作ろうという「グリゴール・プロジェクト」の要員候補だったが、消去された筈の自我が覚醒し逃走、スカービーストに逃げ込む。
 真面目で責任感が強く、仕事以外では控えめな性格。主に司令室で情報処理・情報伝達の作業を行う。担当分野が近いこともあってジャガーと特に親しく、ジャガーも彼女を妹のように可愛がっている。
 自我を喪失し機械的な存在となることへの恐怖が消えない一方で、役割が無いと安心できず、自分の存在意義について悩む事もある。
mink[英]イタチ科の哺乳類ミンク(American Mink)、またその毛皮と毛皮製品
ミンク(顔、全身)

ゲッコー /男/25歳/skill:情報処理、電子機器全般

 ミンクと交代、および補佐で司令室のコントロールを担当する非戦闘員。キシュウが若い衆をからかうのを止めるツッコミ役でもある。
 重度の喘息持ちで胸部に気管支拡張バイパスを開口してあり、発作の際は自律式呼吸器(可能な時は手動で動かす)を接続する。それに備えて常に開襟式の衣服を着ている。
 表社会の大企業で働くITエンジニアだったが、労働環境の劣悪さから心身を壊しドロップアウト。ネガティブで斜に構え、「死ねばいい」「殺すぞ」が口癖。その振る舞いはスカービーストの理念とは正反対に見えるが、態度の悪さとは裏腹に哲学的な所があり、人の尊厳や生きる意義について深く考えている。また、その経歴からスカービースト有数の知識人でもある。
Gecko[英]ヤモリ

ラパン /女/非戦闘員

 スカービーストで炊事等の雑務を行う非戦闘員。
 大変な美貌のため悪い男に引っ掛かって酷い目に遭い、劇物を自ら顔に浴びて大怪我を負った。そこをスカービーストに保護され、サイガは彼女の顔を完璧に治療した。なぜ治したのか、顔が元に戻ればまた同じような目に遭う、恐ろしくて帰れないと彼女はサイガに恨み言を言うが、サイガは「なぜ? オレの仕事は医者だからだ。己の苦難を外見の所為にせず自力で生きることだな」と突っぱねる。周りの説得により彼女はスカービーストで働き始めるが、そのトラウマから容姿は執拗に隠しており、殆どの構成員が彼女の素顔を知らない。しかし数年後、ある盲目の男が彼女に恋をしたことから、彼女は容姿に囚われる事をやめ、またサイガの真意に気付く。醜くなった事で苦難を逃れたという成功体験を得てしまえば、別の苦難に遭った時も何かのせいにし、能動的に解決する意志を失うだろうからだ。
lupin[仏](毛皮の分類としての)ウサギ

グリズリー /男

 スカービーストの現ボス。巨躯の強面。レオに心酔したひとりであり、その遺志を継ぐため時には非情な判断も辞さないと決意しているが、本当は人一倍仲間思いで情に厚い男である。
「いいかディンゴ。人の上に立つ者ならば、我が身を犠牲にする事は最も避けねばならぬ。
 己を盾にひとりを守ったとしたら、庇護者を失ったその者は次の瞬間に死ぬと思え。
 時には仲間の屍を踏んででも、生きて指揮を執るのが責務だ。耐えることだ」
Grizzly bear[英]グリズリー;ハイイログマ。ヒグマの一亜種で、ホッキョクグマと並ぶ最大級のクマ科動物

ヒッポ /男

 スカービースト創設者の一人。組織のアジトと兵器の数々を建造した建築・機械技師。陰気なオタクといった風貌で、独り黙々と己の技能を追求し、周りには理解されない類の人間。人付き合いのまずさから会社を解雇され、路頭に迷っていた時レオに出会う。その人柄に魅了され、自分の技術がレオの役に立てると知った彼は、生まれて初めて自分の居場所を得た。そして異様なまでの情熱をもって、レオとスカービーストに尽くしていく。
 負傷と病気で身体の損傷が深刻化した時、生体コンピュータとしてアジトの建物と一体化する事を選んだ。今では人格が表出する頻度も稀になり、彼と「面会」するのはごく限られた人間だけである。
 年々感情が失われゆく中、レオへの恩義と、彼を守れなかった罪悪感に固執している。後にスカービーストに壊滅的な脅威が訪れた時(グリズリー「大襲撃」を参照)、レオの同志達を守るため、半ば暴走してアジトを移動要塞として起動させる。
 ヒッポの精神状態は専用の計器でモニタされている。情動を色分けしたマスで表示するとともに、人格表出時は顔の図形パターンを表示する。情動パターンは白:無感情(休眠)、赤:怒り、青:悲しみ、黄:緊張、緑:平静、橙:恐怖、ピンク:喜び。情動が強いほど多くの色マスが表示され、白に対して色マスの総数が多いほど興奮状態となる。例えば「青40/白60」なら悲しみ、「黄15/橙85」なら恐慌状態、「赤10/白90」なら微かな苛立ち、など。覚醒度の低い通常時は、計5個以下の色マスが無秩序に点いては消える状態である。移動要塞起動時は情動パターンが青93/黄7となり、ミンクはこれを「深い悲しみと使命感」と解釈した。
hippo[英](口語)カバ

フェネック /女/年齢不詳/skill:パルクール、トラップ、爆発物

 元スカービースト構成員(故人)。アードウルフが保護された時、彼を説得し大きな支えとなっていたが、作戦行動中に事故死。奔放な言動で明るくポジティブな印象。しかしそれは生来の楽天家というよりも、苦境と絶望を経てあくまで前を向くことを選んだ一種の諦めに近い。
 仕事とスポーツに励む善良な市民だった彼女は、夫に裏切られ、暴漢に襲われ、幼子と臨月の胎児を失った。絶望と狂気のはざまで、自分に残された命の意味を問い続けたフェネックはある時、車に轢かれた猫の傍らで鳴き続ける痩せこけた子猫の姿を見る。しかし暫くすると子猫は鳴くことをやめ、親猫の遺骸を貪り始めた。「いのちは、こんなにも貪欲に、生きようとしている……」フェネックは傘を取り落とし、豪雨に打たれながら壊れたように笑った。彼女は「それでも生きる」ことを選択し、自分の身ひとつで渡っていける世界へと下りていった。
Fennec[英]フェネック、フェネックギツネ;大きな耳と尾が特徴のキツネの仲間。足裏は体毛で被われ、砂地を歩行するのに適している
フェネック(顔・全身)

レパルド /男

 スカービースト構成員。有能な警官だったが、職務で妻子を死なせてしまった心の傷から武器を持てなくなり、表社会から離れた。人命を救う行為が妻子への償いだと自分に言い聞かせ、防弾・防刃服などの防具を作製している。スカービースト戦闘員の衣服の殆どが彼の作った防護服である。
leopardo[伊、西ほか]レオパルド;ヒョウ、ヒョウ柄
レパルド(顔)

イリオモテ /男/82歳/156cm/weapon:拳銃(リボルバー)

 スカービーストに籍を置くが街外れで隠遁生活しており、作戦行動に加わる事は滅多にない。リボルバーのコレクターにして名手。腰は曲がり動作は緩慢、ボケ疑惑もあるが、愛銃を握れば忽ち矍鑠として、ディンゴも敵わない腕前を見せる。昔は特殊部隊員であったらしい。
 辺鄙な所に住んでいるのは愛する妻の墓を守る為であり、墓地に立ち入る者には容赦しない。
イリオモテ;イリオモテヤマネコ

レオ /男

 スカービースト創設者にして初代ボス(故人)。屈強な大男で性格は豪放磊落。しかしその見た目に反して、なぜか人に警戒心を解かせ、仲間に引き入れる人望の持ち主。
Leo[羅]レオ;ライオン、獅子座

プレッジハウンド所属 >>プレッジハウンドについて

「忠犬三人衆」アキタ・シバ・トサ…関連エピソードはキシュウを参照

アキタ /男/27歳/180cm/weapon:グロック18、日本刀

 律儀でリーダーシップに溢れ、頭も切れて弁も立つ文武両道の青年。キシュウの身を案じ慎重に行動する。
アキタ;秋田犬
アキタ アキタ

シバ /男/21歳/160cm/weapon:コンバットナイフ、鎖鎌

 身長は低めだが筋骨隆々の特攻戦闘員。忠義心に燃える元気な若者。
シバ;柴犬
シバ シバ

トサ /男/38歳/201cm/weapon:ガトリングガン、戦斧

 重量級のパワーファイター。無口で仏頂面だが義理人情には厚い。
トサ;土佐犬
トサ トサ

マスチフ /男

 キシュウの盟友であり、共にプレッジハウンドを創設した一人(故人)。大柄な体格で陽気な性格。
 若い頃、死別した妹によく似た少女が人身売買されようとする所を見つけ、彼女を助けて袋叩きに遭う。そこをキシュウに助けられたのが縁で、キシュウとは無二の親友となる。本名はマクスウェル。
「キシュウってのは犬の品種だったな。東洋じゃ犬は忠義の象徴なんだろう。俺達は犬の名を冠し、忠義に殉ずる集団になろうじゃないか。俺は、じゃあ、『マスチフ』な」
Mastiff[英]マスティフ、マスチフ;主に番犬・闘犬として使われている大型の犬種群、又は最もポピュラーなマスティフ種であるイングリッシュ・マスティフ(English Mastiff)。頭部が大きく、がっしりした筋肉質で骨太の体格、79~86kgの大型犬。

智蹄連(ヂーティリェン)所属 >>智蹄連について

スタイン・ボック /男/32歳/185cm

 「――それはちょっと、筋が通らないってものじゃありませんかね」
 物資、特に薬物の取引で定期的に訪れる別組織「智蹄連(ヂーティリェン)」の構成員。
 ひょろりと痩せた体型、温和温厚な物腰でとても戦闘員には見えないが、実は両足の特殊義足に刃物を仕込んだ俊足の「剣士」。有事の際には隠れた戦力となる。
 義足は平時には足型をしており、着衣の上からは義足とは判らない。ループタイに仕込んだスイッチか、両足の内側を打ち合わせる緊急スイッチの操作で、戦闘/高速移動形態に変形する。着衣のまま変形すると衣服や靴を破損するが、緊急時は止むを得ない場合もある。
 ある時自分が持ち込んだ取引の最中、スカービーストの非戦闘員であるミンクを戦闘に巻き込んでしまい、危険な目に遭わせた責任を取るためスカービーストと共闘する。
Steinbock[独]シュタインボック;アイベックス、アルプスアイベックス。断崖絶壁やダムの壁にまで登るヤギの仲間。立派な角や体に薬効があるとして盛んに狩猟され一時絶滅の危機に瀕した
スタイン・ボック(全身)

アンテロープ /女/29歳/166cm/skill:薬学・化学

 智蹄連(ヂーティリェン)の薬学研究員。
 非常に優秀だが怒りっぽくせっかちで、一日の大半を半ギレと逆ギレで過ごすような具合。研究に没頭するあまり身なりには全く手間暇を割かず、折角の器量を台無しにしている。
 本名はウルリカ・ストリャヴナといい、幼い頃に父を亡くした寂しさから勉学に打ち込むようになった。真実を包括的に追求しようとする情熱ゆえに、その研究内容は法規に触れる事も多くなり、やむなく智蹄連に身を寄せる。
 クーガーと出会ったウルリカは知らない男に本名を呼ばれた事に驚き混乱するが、彼の仕草に懐かしい癖を見出し父の面影を重ねる。
(私、何を言ってるんだろう…… 父さんはとうの昔に殉職したんだし、生きてたら今頃70かそこらよ。この人、私より年下くらいじゃない…… でも、でも、あの癖と面影は……)
レイヨウ(羚羊)またはアンテロープ (Antelope);ウシ科の大部分の種を含むグループ。分類学的にはおおよそ、ウシ科からウシ族とヤギ亜科を除いた残りに相当し、ウシ科の約130種のうち約90種が含まれる。「カモシカのような足」というときの「カモシカ」は、本来はレイヨウのことである。しかし現在でいうカモシカはヤギ亜科に含まれ、レイヨウには含まれない
アンテロープ(全身)

ムース&エルク /男/共に230cm

「うちの者が世話をかけたね」
 二人一組で智蹄連(ヂーティリェン)のボスを務める一卵性双生児の大男。威圧感の割にごく穏やかな性格で、それだけに「怒らせたら何が起こるか分からない」と組織内外から恐れられている。
Moose[英]、Elk[英];ヘラジカ、オオジカ。英語ではユーラシア大陸のヘラジカをエルク(elk)、北アメリカのヘラジカをムース(moose)と呼ぶ。シカ科最大種で、唾液には植物の成長を促す成分が含まれている

レイヨウ /男/年齢不詳(老人)

智蹄連(ヂーティリェン)の副長。仙人のような風貌で、漢方薬から最新医薬まで幅広い知識を持ち、組織の薬学面を監修している。
レイヨウ(羚羊)またはアンテロープ (Antelope);ウシ科の大部分の種を含むグループ。分類学的にはおおよそ、ウシ科からウシ族とヤギ亜科を除いた残りに相当し、ウシ科の約130種のうち約90種が含まれる。「カモシカのような足」というときの「カモシカ」は、本来はレイヨウのことである。しかし現在でいうカモシカはヤギ亜科に含まれ、レイヨウには含まれない

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コヨーテ /女/171cm

 ヘレティックファングでディンゴと共に行動していたが、組織壊滅時に死亡したとされている。ディンゴは彼女が撃たれた姿を見た直後に視力を失った。しかしその後、コヨーテらしき人物の目撃情報が複数あり、ディンゴはネクロマンサーの関与を疑っている。
ディンゴ「コヨーテ、お前はあのコヨーテなのか?それともあの頃のお前とは違う、いや全くの別人なのか…?」
コヨーテ「…私が何者であるかは、他者が決めることだ。お前の中に結ばれる印象の問題だ。私自身はこの私しか知らない、自分は自分だと言う他は無い。お前の事は覚えているよ、ディンゴ。あの日の戦闘のことも…それで満足か?しかし違うのだろう。お前の記憶にある私の姿と、お前が今把握する私の姿、その二者が同一かということだろう。それを比べるのはお前であって、私ではない」
サイガと瓜二つの容姿をしている。
Coyote[英]コヨーテ;オオカミに近縁で、形態も似るが小型なイヌ科動物。ネイティブアメリカンの伝承におけるトリックスター
コヨーテ(顔・全身)

シェルムフェーダー所属 >>シェルムフェーダーについて

ロビン /女/15歳/155cm/weapon:ボウガン

 シェルムフェーダー構成員。快活でボーイッシュ。レン、ツバメと共に行動する主力諜報部隊のリーダー格であり、スカービーストにも度々訪れ友好的に接している。護身用にボウガンを携行しているが戦闘能力は高くない。
robin[英]ヨーロッパコマドリ、ロビン、コマツグミ
ロビン

レン /男/14歳/153cm

 シェルムフェーダー構成員。無表情で無口。主力諜報部隊のエンジニア要員として機器・道具類を操る。トラップ技能に長けているとの噂もあるが、実際に見た者はいない。
wren[英]ミソサザイ(細長いくちばしをした小型の鳴鳥)/英国海軍婦人部隊員 (cf. WRNS;Women's Royal Naval Service 英国海軍婦人部隊)
レン

ツバメ /女/16歳/161cm/weapon:日本刀(忍び刀)

 シェルムフェーダーの数少ない戦闘員。使命感が強く真面目。主力諜報部隊の護衛係。
ツバメ

その他の人物

サーバル /女/25歳/172cm/weapon:マチェーテ、ククリナイフ、アサルトライフル

 流れ者のフリーエージェント。様々な組織と仕事の契約をする事はあるが、どこにも属さず誰の味方でもない。ディンゴとは昔からの知り合い。
「なんで一人でいるのかって?簡単さ、味方を作れば裏切られるのが怖いからだよ。
 あたしだって昔は、あんたたちみたいに仲間を信じていられた。だけど色々あってね…… 今は意気地なしさ」
「ありがと、ディンゴ。だけどやっぱり、期待するのが怖いよ…… あんたが悪いわけじゃない、あたしが弱いだけさ」
Serval[英]サーバル;アフリカ大陸に分布する中型のネコ科肉食獣。細長い体型で高いジャンプ力を有する
サーバル(全身)

ザンナ /女/170cm前後/skill:琉球空手、居合、日本古武術

 対人近接戦闘に特化したフリーランスの傭兵(故人)。武器を使わずとも超人的な戦闘能力を有し、いかなる勢力にも降らず独自の哲学で動いた為、制御不能な危険人物とされていた。晩年は郊外の隠れ家で日本古来の生活様式を営み、密かに一人の弟子を育てた。それがキシュウである。
 70歳近くになっても傭兵として現役であったが、依頼主の裏切りに遭い、キシュウを庇って命を落とす。
 性格は冷酷無比で一切の情を持たないと言われたが、過去や胸中を誰にも語らず、真相は謎である。
「醜く生きるな、笑って死ね」
zanna[伊]ザンナ;牙